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院長ブログ

櫻井繁樹の医療ノート
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心臓リハビリテーションが変える心疾患患者の未来

心臓リハビリテーションの様子

心筋梗塞や心不全、心臓手術といった経験は、患者様やご家族にとって大きな出来事です。「もう以前のような運動はできないのではないか」「仕事や趣味を続けられるだろうか」といった不安を抱える方は少なくありません。しかし、諦める必要はありません。適切な**心臓リハビリテーション(心リハ)**を行うことで、多くの患者さんが体力や自信を取り戻し、より質の高い生活を送ることが可能になります。

今回は、当院が力を入れている心臓リハビリテーションについて、その重要性と具体的な取り組みをご紹介します。

心臓リハビリテーションとは? なぜ重要なのか?

心臓リハビリテーションは、単なる運動療法ではありません。心疾患の患者様に対して、**運動療法、生活指導(食事・禁煙など)、カウンセリング(心理サポート)**などを多職種(医師、看護師、理学療法士、管理栄養士など)が連携して行う包括的なプログラムです。

その目的は多岐にわたります。

  • 体力の回復と向上: 安全かつ効果的な運動により、心肺機能や筋力を改善します。
  • 再発予防: 心臓病の危険因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満など)を管理し、再発や再入院のリスクを低減します。研究によると、心リハは心血管死亡率を約25%低下させると報告されています。
  • QOL(生活の質)の向上: 身体的な活動能力の向上だけでなく、不安や抑うつの軽減、自信の回復を通じて、精神的な健康もサポートします。
  • 社会復帰の促進: スムーズな職場復帰や趣味の再開を支援します。

当院の心臓リハビリテーションの特徴

当院では、2007年の開設当初から心臓リハビリテーションに取り組み、2010年には専用のリハビリテーションセンターを併設しました。経験豊富な専門スタッフと充実した設備で、患者様一人ひとりに合わせたプログラムを提供しています。

1. 科学的根拠に基づく個別化プログラム

心リハを開始する前には、**心肺運動負荷試験(CPX)**を行います。これは、自転車エルゴメーターやトレッドミルで運動しながら、心電図、血圧、呼吸中の酸素・二酸化炭素濃度などを測定する検査です。CPXによって、患者様一人ひとりの安全な運動強度(どれくらいの運動なら心臓に負担なく行えるか)や、運動能力(体力レベル)を正確に評価できます。この結果に基づいて、理学療法士が個別の運動プログラムを作成します。

心肺運動負荷試験装置
心肺運動負荷試験(CPX)で安全な運動強度を評価します

2. 多職種によるチームアプローチ

当院の心リハは、循環器専門医の監督のもと、心臓リハビリテーション指導士の資格を持つ看護師や理学療法士、管理栄養士がチームとなって患者様をサポートします。

  • 運動療法: 理学療法士が、CPXの結果に基づき、エルゴメーターやトレッドミル、筋力トレーニングなどを組み合わせた運動メニューを指導します。運動中は常に心電図モニターや血圧測定を行い、安全管理を徹底します。
  • 栄養指導: 管理栄養士が、減塩やコレステロール管理など、患者様の病状に合わせた食事療法を具体的にアドバイスします。
  • 生活指導・カウンセリング: 看護師や保健師が、服薬管理、禁煙指導、ストレス対処法など、日常生活全般にわたる相談に応じ、心理的なサポートも行います。

3. 充実した設備と環境

専用のリハビリテーションセンターには、複数の自転車エルゴメーターやトレッドミル、筋力トレーニング機器を備えています。明るく開放的な空間で、他の患者様と一緒に、あるいは個別で、安心してリハビリに取り組める環境を整えています。

未来への一歩を、私たちと一緒に

心臓リハビリテーションは、心疾患治療後の「守り」だけでなく、より良い未来へ踏み出すための「攻め」の治療でもあります。病気と向き合い、再び自分らしい生活を取り戻すために、私たち専門チームが全力でサポートします。

当院では、通院が難しい方向けのオンライン心臓リハビリ補助プログラム(自費)も提供しています。心臓リハビリテーションについて詳しく知りたい方、ご自身の状態について相談したい方は、どうぞお気軽に当院スタッフまでお声がけください。